人工内耳システム
人工内耳とは、内耳(蝸牛)の損傷した部分の代わりとして働き、音の信号を脳に伝える電子医療機器です。

人工内耳とは?
人工内耳は、未発達または損傷を受けた内耳に代わる役割を果たす医療機器です。音を増幅する補聴器とは異なり、内耳(蝸牛)の損傷を受けた部分に代わって、脳に音の信号を送る働きをします。
人工内耳の適応条件は?
日本耳鼻咽喉学会ガイドラインより
成人の場合(2017)
- 裸耳での聴力検査で平均聴力レベル(500Hz、1000Hz、2000Hz)が90dB以上の重度感音難聴 平均聴力レベルが70dB以上、90dB未満で、なおかつ適切な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%以下の高度感音難聴
- 蝸牛に電極が挿入できるスペースがある医学的に全身の問題がなく、手術可能である
- 言語習得後に失聴の場合両耳聴の実現のため人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない
- 上記以外の場合でも患者の背景を考慮し、適応を総合的に判断する事がある
詳細は 成人人工内耳適応基準(2017)をご覧ください。
小児の場合(2014)
- 原則1歳以上(体重8kg以上)
- 以下のいずれかに該当する場合
(1)裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90dB以上
(2)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の平均聴力レベルが45dBよりも改善しない場合
(3)上記の条件が確認できない場合、6カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用下の最高語音明瞭度が50%未満の場合 - 家族の継続的な協力が見込まれる
- 療育機関との密接な連携が保たれる
- 両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない
詳細は小児人工内耳適応基準(2014)をご覧ください。
人工内耳の聴こえのしくみ
多くの人々が難聴に悩む原因は、内耳(蝸牛)の有毛細胞の損傷です。 人工内耳を装用すると、音を聴神経に伝達できるようになり、聴こえるようになります。 その過程を下に説明します。

- 体外装置であるサウンドプロセッサのマイクロホンが音を拾い、拾った音をデジタル信号に変換します。
- デジタル信号は、送信コイルを通じて皮膚の下にあるインプラントに送られます。
- デジタル信号に変換された音を、インプラントが電気インパルスに変換し、蝸牛(内耳)に配置された電極アレイに送ります。
- インプラントの電極が蝸牛の聴神経を刺激し、この刺激が脳に送られて、音として認識されます。
人工内耳の効果は?
多くの成人の人工内耳装用者の方が、以下の感想を述べています。
- 補聴器装用時よりも人工内耳装用時のほうが聞こえやすくなった。
専門の研究機関の評価で、文章の理解度が補聴器装用時の10%に対して、平均80%まで上昇したという報告もされています 1。 - 騒音下での聴き取りが向上した。
会議で机をはさんでの会話や、レストランなどの混雑した場所で会話が可能になった。 - 人工内耳装用する前には聞こえなかった音を取り戻せた。
- 警報音や人が大声で呼ぶ声、近づいてくる車の音が聞こえるようになったため、安心感が増した。
- 電話での会話が可能になった。
- 音楽を楽しめるようになった。
聴こえに影響を与える要因は?
人工内耳の効果にはしばしば個人差があります。 違いの主な要因は:
- 人工内耳装用前の失聴期間
- 難聴の程度
- 内耳(蝸牛)の状態
- その他の医学的条件の有無
- 人工内耳システム装用しての日常の生活での聞き取り訓練時間
免責事項
難聴の治療については、医師にご相談ください。難聴の状態に応じたアドバイスを受けることができます。弊社製品はすべて、医師からの指示がなければ使用できません。
国によってはご利用になれない製品もあります。 詳細については日本コクレアまでお問い合わせください。
- Arndt P,S Arcaroli J, Hines A, Ebinger K, "Within Subject Comparison of Advanced Coding Strategies in the Nucleus 24 Cochlear Implant" Cochlear Corporation,1999